8.2次関数 の最大・最小
★頂点とあと1つの条件から
★3点を通る2次関数
1.2次関数の決定
このページは電子ブック「探求 数学Ⅰ」の一部です。
<頂点を利用する>
y=ax2の頂点(0,0)をx軸方向にp,y軸方向にq移動した2次関数とすると、
2次の係数はそのままで、xをx−pに変え、yをy−qに変えた式になり、
頂点(p,q)を通る、2次関数の式は標準形y=a(x-p)2+qとなる。
通る頂点が具体的にわかっているときは、aだけが未知数だ。
あと1つ情報がaが決められる。
ごく、まれですが、問題のための問題をつくると、
定義域の端の値に「=」が入らないときは、1次不等式の解の範囲と同様に、
その値には近づくがその値にはならない。だから、図形の上では端の値域があるのに、
数値の上では対応する値がないことがおきる。だから、最大、最小値が値としてはないこともある。
このような細かな設定に対応するために、定義域に=があれば●、なければ◯をつける。
これをルールとして作業するとよい。
(例)点(1,2)が頂点の2次関数はy=a(x-1)2+2とおける。
(例)x軸に接する2次関数なら、
頂点を仮に、(p,0)として、y=a(x-p)2とおける。
(例)x=3が軸の2次関数なら、
頂点を仮に、(3,q)として、y=a(x-3)+qとおける。
<頂点を利用しないとき>
・2次関数の頂点座標を使わない一般形y=ax2+bx+cとして3未知数a,b,cを求めよう。
だから、グラフ上の3点の座標から連立方程式で求められる。
頂点はxの式を平方完成すれば求められる。
やはり、y=a(x-p)2+qの形にたよることになる。
・2次関数がx軸との交点がわかる形y=c(x-a)(x-b)という式で与えられているならば、
yはx=aまたはx=bで0になるから、x軸上のA(a,0),B(b,0)を通ることがわかる。
軸は線分ABを垂直に2等分するので、x=(a+b)/2となる。
★因数分解からグラフをイメージしよう
2.2次関数の最大値と最小値
<定義域と値域>
xの変域を定義域という。
yの変域を値域という。
<下に凸の2次関数の最大・最小>
変域が軸のxの値を含まない場合、
変域の両端に対応するyの値が最大値、最小値の候補になる。
変域に軸のxの値が含まれる場合、
頂点のy座標が最小値となる。最大値の候補は上記と同様。
文字が2種類あるときや、高次式の最大最小では、置き換え・代入により1文字の2次関数にしよう。
(例)
「第1象限で、3x+2y=1のときのt=3x2+4y2の
最大値と最小値(そうなるときのx)」は?
陰関数形では見通しが悪いので、1変数についての陽関数形にして、変数を統一する。
直線のグラフはx切片が1/3、y切片が1/2で、第1象限なので、xは0以上で1/3以下。
これがtの定義域となるね。
t(x)=3x2+4((1-3x)/2)2=12x2-6x+1=12(x-1/4)2+1/4。
対称軸x=1/4はxの変域の右はしx=1/3の方に近いから、左はしのx=0で最大になる。
最小値は対称軸で頂点のy座標。
つまり、最大値はt(0)=1。最小値は頂点のy座標t(1/4)=1/4。
(例)
「x2-2xy+2y2=1を満たすx,yのk=x+yの
最大値と最小値(そうなるときのx)」は?
y=k-xと変形して代入するとf(x)=x2-2x(k-x)+2(k-x)2-1=5x2-6kx+2k2-1=0の判別式D/4=(-3k)2-5(2k2-1)
=-k2+5が0以上のときに解をもつから、kがー√5以上√5以下となる。
kの最大値√5のとき、f(x)=0は重複解x=3√5/5。kの最小値-√5のとき、f(x)=0は重複解x=-3√3/5
<上に凸の2次関数の最大・最小>
変域が軸のxの値を含まない場合、変域の両端に対応するyの値が
最大値、最小値の候補になる。
変域に軸のxの値が含まれる場合、頂点のy座標が最大値となる。
最大値の候補は上記と同様。
<相対的に変域が移動する場合の最大・最小>
変域が固定されていて、グラフが移動する場合、
グラフが固定されて、変域が移動する場合、
どちらにして、グラフからみれば、相対的に変域が移動する。
グラフを移動して考えるのは書く手間もかかるし、イメージもしにくい。
だから、グラフの対称軸を固定して、定義域の区間が移動するという順番で
場合わけすれば、図もかきやすいし、イメージもしやすいでしょう。
固定幅の定義域でのグラフ移動では、
対称軸が定義域の中にあるか、どっちに外れるかの3つに場合わかしよう。
(例)
「頂点が(a,a)のy=f(x)=(x-a)2+aの最小値m
(定義域がのとき)をaの関数式にする」と?
a<=0なら(対称軸x=aが定義域のはしのx=0以下)
最小値は定義域のはしのx=0のときのf(0)だから、
m(a)=f(0)=a2+a
2<=aなら(対称軸x=aが定義域のはしのx=2以上)
最小値は定義域のはしのx=2のときのf(2)だから、
m(a)=f(2)=(2-a)2+a=a2-3a+4
のこりの場合(aは0と2の間にあると、対称軸が定義域からはみ出ない)
最小値は対称軸x=aのときの頂点のy座標になるから、
m(a)=f(a)=a
★最大値と最小値を対応表で確認しよう
★最小値の変化を感じよう
3.演習
最大最小は平方完成して、軸と頂点を求めよう。
軸が定義域の中にあれば、頂点で最小か最大。
どちらになるかは、2次の係数で下に凸か上に凸かで判断できるね。
また、軸が定義域の中点より右か左に偏っていると、定義域の端の関数値で最大か最小。
<最小値の最大化>
(例)
「y=x2-2ax+2a+1の定義域を0以上3以下のときの最小値の最大値」は?
平方完成f(x)=y=(x-a)2-a2+2a+1の軸x=aと頂点(a,-a2+2a+1)
軸x=aが0以上3以下なら、最小値f(a)=-a2+2a+1=-(a-1)2+2
軸x=aが3より大なら最小値f(3)=-4a+10。軸x=aが0より小なら、最小値f(0)=2a+1
だから、この3つのグラフをつなぐとm(a)は0以上3以下で上に凸で頂点(1,2)で最大。
残りの範囲では左右とも、負の無限大に向かう直線になる。最大値は2(a=1で)
<2変数関数の変化>
(例)
「第一象限でx+y=1のときの2x2+y2の最大・最小値」は?
y=1-xを代入すると、M(x)=2x2+(1-x)2=3x2-2x+1=3(x-1/3)2+2/3は軸がx=1/3で頂点が(1/3, 2/3)
1-xが0以上となるxは1以下だから、xの変域は0以上1以下。だから、軸x=1/3が入る。
下に凸だから、x=1/3,y=2/3のとき、最小値2/3。
変域では1/3は中点1/2より小さいから、最大値はx=1のときM(1)=2・12+(1-1)2=2。
<最小値の最小化>
(例)
「x,yが実数のときf(x)=x2-2xy+3y2-2x+10y+1の最小値の最小値」は?
xについて整理してy=tとおくと、f(x)=x2-2(t+1)x+3t2+10t+1=(x-(t+1))2+2t2+8tの軸x=t+1と頂点
(t+1,2t2+8t)下に凸だから、最小値は2t2+8t=2(t+2)2-8で、t=-2で最小値-8になる。