11.三角比
★向きが変わってもわかるようにしょう
1.直角三角形と三角比
このページは電子ブック「探求 数学Ⅰ」の一部です。
<直角以外の角はペア>
直角以外のペアを角A,角Bとし、直角をCとするとき、
角AとBを互いに余角[complementary angle]ということがある。
角A,B,Cの対辺をa,b,rとしてみる。
・Aの角の正弦sinAはAからスタートし、[A→B→C(直角が最後)]の順になぞる、
sの筆記体に似ている。と、斜辺rが分母、Aに正対する対辺aが分子になる。
・Aの角の余弦cosAはAをはさむ[B→A→C(直角が最後)]の角A記号順で、
cの文字に似ている。、斜辺が分母、Aの対辺でも
斜辺でもない残りの辺、Aにくっつく辺が分子になる。
・Aの角の正接tanAはAからスタートして直角を経由しACBの順で、
tの筆記体に似ている。
A地点から、直角Cまでの距離分のCからBの高さを仰ぎ見る角の傾き。
すると、ペアで定義からsinとcosが入れ替わる。A+B=180-90=90度から、
sinB=cosA=cos(90-B)。
cosB=sinA=sin(90-B)。
tanB=1/tanA(逆数になる)
(例)おなじみの値なので、計算できてしまうもの。
◯+△=90(度)ならsin◯=cos△
・√3がからむか1/2がからむと30度か60度。(小中学生がやるように正三角形で確認)
・√2がからむと45度(小中学生がやるように直角三角形で確認)。
sin30°=cos60°=、
sin60°=cos30°=。
tan30°=1/tan60°=、tan60°=
sin45°=cos45°=、tan45°==1。
(例)値がわからなくても、置き換えだけはできる例
sin20°=cos70°、tan20°=1/tan70°。
(例)角度θがわからなくても、直角三角形の3辺の長さから決まる例。
θが90°未満で、sinθ=3/5のときのcosθ、tanθは?
斜辺1の直角三角形とすると、
残りの辺の長さは1-(3/5)2=16/25の平方で4/5。
だから、
cosθ=4/5。tanθ=3/4。
(例)角度がわかっていても、辺の比が未知の非有名角(36°、18°など)
・cos36°、sin36°
相似や二等辺三角形を利用して辺の比を求める。それを利用して三角比に利用しよう。
A,B,Cの順に36,72,72(°)の二等辺三角形を作りAB上に点Dをとり、72の角CをCDで2等分する。
すると、三角形BCDはABCと相似。DからACに垂線DEを下ろすと、DEは二等辺三角形ADCの角Dを
2等分するから、三角形ADEと三角形CDEは合同。
BC=1、DB=xとおくと、二等辺の特徴から、CD=AD=BC=1。AC=AB=1+x
三角形ABCとDBCの相似比からx:1=1:(1+x)。x(1+x)=1となり、x2+x−1=0
x=(-1+√5)/2。だから、AB=AC=1+x=(1+√5)/2となる。EはACにの中点だから、AE=(1+√5)/4
だから、
cos36°=AE/AD=(1+√5)/4。
sin36°=1-(1+√5)2/42=(16-1-5-2√5)/16=(10-2√5)/16=(5-√5)/8。
・sin18°、cos18°
A,B,Cの順に36,72,72(°)の三角形の辺の比がAB:BC=(1+√5)/2:1であることが利用できる。
角Aから垂線AFをひくと、直角三角形ABFの辺の比は(1+√5):1となるから、
sin36°=1/(√5+1)=(√5-1)/(5-1)=(√5-1)/4。
cos18°=1-(√5-1)2/42=(16-1-5+2√5)/16=(10+2√5)/16=(5+√5)/8。
2.半円周と三角比
<円周上で三角比を再定義する>
中心Oで半径rの半円を、A(r,0),B(0,r),C(-r,0)の順にかく。円周上の点をPとする。
半径OPが半径OAと作る角AOPは0°以上180°以下で、角AOPをθ(シータtheta)とする。
・θが90°未満のとき、OPを斜辺として、
Pからx軸におろした垂線の足をHとする。
直角三角形OPHで、半径OP=rだから、三角比は次のようにかける。
すると、
点Pの
x座標=OH=rcosθ、
y座標=PH=rsinθとなる。
そして、tanθ=y/xで原点Oを通る動く半径(動径)OPの傾きになる。
三角比を動点の座標と動径の傾き再定義する。
三角比の再定義「半径rの円周と直線y=mxの交点Pについて、P(r cosθ、r sinθ)、m=tanθ」
<θと180-θの三角比>
和が180°になる2つの角を互いに補角[supplementary angle]ということがある。
θが90°と180°の間のとき、α=180-θとなる角AOP’を作る。
OP’はOPをy軸に対称移動。
OP’とOPのy座標は同じで、x座標と傾きは異符号で同じ絶対値になる。
◯+△=180(度)なら sin◯=sin△, cos◯+cos△=0
(例)値が計算できるもの。
cos120°=-cos60°=-,sin120°=sin60°=,tan120°=-tan60°=。
cos150°=-cos30°=,sin150°=sin30°=,tan150°=-tan30°=。
-tan120°+2sin150°=-(-tan60°)+2(sin30°)=√3+2(1/2)=√3+1
(例)数式として置き換えられるもの
cos160°=−cos20°,sin160°=sin20°,tan160°=−tan20°。
(例)角度θがわからなくても、直角三角形の3辺の長さから決まる例。
θが90°と180°の間で、sinθ=3/5のときのcosθ、tanθは?
単位円周(半径1の円周)上の動点Pのy座標を3/5とする。
180-θのときのy座標も3/5。
x座標は直角三角形の残りの辺の長さで1-(3/5)2=16/25の平方で4/5
だから、cos(180-θ)=4/5。cosθ=-4/5。tanθ=-3/4。
<Pが軸上の三角比>
θが0°のときは、再定義により、OP=OA=(r,0)となるから、
cos90°=1、sin90°=0、tan90°=0/1=0となる。
θが90°のときは、再定義により、OP=OB=(0,r)となるから、
cos90°=0、sin90°=1、tan90°=無限大となる。
θが180°のときは、再定義により、OP=OC=(-r,0)となるから、
cos90°=-1、sin90°=1、tan90°=0/-1=0となる。
<θとθ+90の三角比>
・θが90°未満のとき、α=θ+90°となる角AOP’を作る。
直角三角形を90°回転移動することと同じで、合同に目をつける。
余弦は符号に注意する。
鈍角は90引いて鋭角にし、sinとcosが入れ替える。cos鈍角はマイナス。
(例)cos135°=-sin45°, sin135°=cos45°,tan135°=-1/tan45°
cos100=-sin10,sin100=cos10,tan100=-1/tan10。
★合同と符号に目をつけよう
★対応辺に目をつけよう
3.三角方程式
<等式の証明>
単位円(半径1の円)の方程式は、三平方の定理からx2+y2=12となる。
動点Pの座標は(cosθ, sinθ)となる。
これを代入すると、(cos θ)2+(sinθ)2=1 。cos2θ+sin2θ=1とかく。
これは、sinとcosの置き換え式として、よく使われる。
cosθとsinθの絶対値は1以下である。
また、tanθ=sinθ/cosθは、tanの定義の式でもあるが、相互の置き換えに使える。
(例)
「sinθcosθ=」の証明は?
左辺を変形して右辺にするか、右辺を変形して左辺にする。
右辺の分母と分子にcosθをかけると、分子はsinθ。
分母はcosθ+sin2θ/cosθ=(cos2θ+sin2θ)/cosθ=1/cosθ。
右辺はsinθ/(1/cosθ)=sinθcosθ。
<三角方程式>
θが0°以上180°以下、pは0以上1以下、qは−1以上1以下、rは任意の実数。
単位円のx座標がcosθで正負どちらもありうる。y座標がsinθで負にならない。
図をかいてしらべる。
・sinθ=pとなるのは、動点のy座標がpになることで、
90°以下の角をαとすると、180ーαも解になる。
・cosθ=qとなるのは、x座標とθは1対1に対応するので、1つに決まる。
・tanθ=rとなるのは、原点を通る直線の傾きがrとなるときのθ。
三角比の部分をxとかtなどとおき、θの指定によりxやtの定義域をはっきりさせよう。
そのうえで、xやtの方程式や不等式、関数式やグラフから変化の特徴をつかもう。
そうすることで、三角方程式、三角不等式の解や解の範囲や解の個数などを調べることができるね。
(例)sinθ+cosθ=1/2のときのsinθcosθの値は?
両辺2乗して、(cos θ)2+(sinθ)2=1を活用すると、1+2sinθcosθ=1/4。sinθcosθ=-3/8
(例) tanθ=-2(θは90以上180°以下)のときの1/cosθの値は?
(例)2sin2θ+5cosθ+1=0(θは90以上180°以下)となるθは?
cosθ=x(絶対値は1以下)とおくと、
左辺=2(1-x2)+5x+1=-2x2+5x+3=-(2x2-5x-3)=-(2x+1)(x-3)=0となる。
x=3,-1/2<=1から、cosθ=-1/2から、cos(180-θ)=1/2 で180-θ=60。θ=120°