15.対数関数
1.対数
<定義>
指数関数の逆が対数[logarithm]関数。
底がaの指数[power]関数をy=ax=pow(a,x)とかくことにする。
対数はpow-1で、x=pow-1(a,y)となる。pow-1をlogとかく。
x=log(a,y)=logay。xをaを底とするyの対数という。yを対数xの真数という。
・指数関数:対数x→真数y(xは全実数、yは正数)
・対数関数:真数y→対数x(yは正数、xは全実数)
真数条件とはy>0であること。yが負だと対応する対数xは存在しない!
つまり、指数関数の結果yからaに対する指数x(何乗するか)を取り出していると言える。
(注意!)対応がわかるように、あえてxとyを入れ替えずに記述しています。
<対数の存在意義>
四則計算が日常化している私達の生活では、
どんな数でも和差積商が計算できるという感覚があるでしょう。
しかし、指数の範囲を拡張することで、正の実数Aを実数乗するとあらゆる正の数Bにできて、
かけ算わり算が指数をたし算ひき算に直して計算がかんたんになった。
対数は、その逆だから、この便利な指数を取り出す。
正の実数A(底)を正の数B(真数)にするため何乗(実数乗)したらよいか?
という指数がもれなく存在し、指数を取り出して便利に使えるということだ。
<対数計算の実験>
(例)定義から103=1000なので、log101000=3。あわせて、10(log101000)=1000
(例)底が10のとき
x=2→102=100の対応pow(10,2)=100の逆は、log10100=2が底10の100の対数。
log10100=2は、底10なら100は2乗してできるということ。
log101000=3, log1010000=4,一般化すると、log1010n=n(底のN乗の対数はN)
log10100=2, log101000=3, log10(100・1000)=log10100000=log1010(2+3)=2+3=log10100+log101000
(A・Bの対数はAとBの対数の和)
(例)底が2のとき
log222=2,log223=3, log225=5,log2232=32のように、log22n=n。(底のN乗の対数はN)
log28=3, log264=6,log2128=7,log2256=8,log2512=9,log21024=10,log22048=11
log24=2, log28=3, log2(4・8)=log232=log22(2+3)=2+3=log24+log28(A・Bの対数はAとBの対数の和)
(例)底がeのときの予想
logeen=n、logeA・B=logeA+logeB (底がeのときは底を省略することが多い)
<計算の一般化>
定義から、aをxにする対数をlogで取り出してaの指数にするとxにもどる。
指数法則を言い換えて、対数法則として表してみよう。
・対数の定義から、logaaN=Nはあきらか。
この逆も使える! 数Nみたら、N=logaaN
この特殊化として、N=1のとき、logaa=1(1乗すると底になる)
この逆も使える! 1をみたら、1=logaa
N=0のとき、loga1=0(0乗すると1になる)
この逆も使える! 0をみたら、0=loga1
・指数の積の法則から、logaMN=logaM+logaN(2数の積の対数は分解した対数の和)
(たしかめ)p=logaM, q=logaMなら、M=ap,N=aq,
logaMN=logaapaq=logaap+q=p+q=logaM+logaN
・指数の積の法則から、logaM/N=logaM-logaN(2数の商の対数は分解した対数の差)
(たしかめ)logaM/N=logaap/aq=logaap-q=p+q=logaM-logaN
・積の対数が対数の和分解できたことを繰り返すと、logaMk=klogaM(k乗の対数は対数のk倍)
(たしかめ)logMk=logMMMM…M=logM+logM+......+logM=klogM
(例)log22√2=log221.5=1.5
(例)log√2x=4なら、x=(√2)4=4
(例)logx10=0.25なら、x0.25=10。辺々4乗して、(x0.25)4=104 。x1=10000
2.底の変換
<実験>
底を2にして底の変換にチャレンジする。
16=42
k乗の対数は対数のk倍だから、log216=log242=2log24
=2=log442=log416
(実数kは何でも適当な正数nでK=lognnkと指数・対数世界で再表現できる!)
A=16、B=4とイメージすると、A=B2のときに成り立った。
底は何でもよいが、底をBにしたのは真数をAにもどすため。
k乗は2に限らない。
A=Bkとすると、
(分子の対数を分母の真数を底に変換できた)
<一般化>
底は2に限らない。
正の実数A(底)を正の数B(真数)にするため何乗(実数乗)したらよいか?
という指数がもれなく存在する!
kを整数に限定しなければ、正数A,Bに対して、A=Bkとなるkがあるはず。言い換えると、
これを逆にたどって、
<底の変形の派生公式>
底の変換は底部分を分母の真数にするので、ABを逆にすると逆数になる。
(例)log212-log424-log86=log212-log224/log222-3/2log26/log223
=log212-1/2(log224)-1/2log26=log2(12/√(24×6))=log21=0
(例)log23・log764・log8149
=
(例)「log102=a,log103=bのとき、log7524をa,bの式で表す」と?
log105=log1010/2=1-a
log24/log75=log103・23/log103・52=(b+3a)/(b+2(1-a))=
<オイラーの黄金律>
2真数が同じなら、その対数の比は底を変えても一定だ。
(理由)底の変換公式を分母分子に使う。
(使い方例)底がeの対数値の比を使って、底が10の対数値の比に流用する。
そのことで、底がeの対数値が複数わかると、底が10の対数値も次々と計算できて、
底が10の対数表が簡単に作成できる。
★対数方程式の解
3.対数方程式・不等式
<グラフの特徴>
指数関数のxとyが入れ替わり、直線y=xで線対称なグラフが対数関数グラフ。
1.底aは1以外の正の数
2.指数関数は全実数から正の数へ。対数関数は正の数から全実数へ。
定義域の変数が正であることを真数条件という。
3.点(0,1)を通る指数関数。点(1,0)を通る対数関数。
4.単調変化の指数関数。aが1より大なら単調増加。aが1より小さいと単調減少。
5.指数法則を再表現しただけの対数法則が成り立つ。
<対数方程式>
logMが存在するためには真数Mは正である。これを真数条件という。
真数条件と底に着目して条件を単純化する。
(例)「log10x-3logx10=2の解x」は?
真数条件からx>0。
X=log10xとして、底を変換する。
log10x-3log1010/log10x=2
X-3/X=2。X=0のときは成り立たないのでX倍する。X2-2X-3=(X-3)(X+1)=0。X=3、−1。
X=log10x=3,-1。これから、x=103,10-1= 1000,1/10。
(例)「log2(x2-2)=log2(x-1)-1の解x」は?
真数条件x2-2>0,x-1>0から、x>√2。
1=log22から、log(x2-2)=log(x-1)/2となり、2x2-4=x-1、2x2-x-3=0。(2x-3)(x+1)=0。
真数条件にあうx=3/2のみ。
(例)「log39x-6logx9=3の解x」は?
真数条件9x>0からx>0。底の条件からxは1以外の正数。
log39x=log332+log3x=2+log3x 、logx9=logx32=2logx3
log3x=Xとおくと、log3x=1/X だから、方程式は2+X-6・2/X=3 X-1-12/X=0 X2-X-12=(X+3)(X-4)=0。
X=log3x=-3,4。これから、x=3-3, 34=1/27, 81。
<対数不等式>
真数条件と底に着目して条件を単純化する。真数だけの条件に直す。
(例)「2logax>loga(4x+5)(aは1でない正数)をみたすxの範囲」は?
真数条件x>0,4x+5>0から、x>0。
正数a>1ならx2-4x-5=(x-5)(x+1)>0。真数条件と合わせて5<x。
正数a<1なら(x-5)(x+1)<0。真数条件と合わせてxは0と5の間。
★対数関数の合成と最大値
4.対数の大小問題
<対数式と最大最小>
真数条件と底に着目して条件を単純化する。真数だけの大小関係に直す。
(例)「log2x+log2(-x+4)の最大値とxの値」は?
真数条件x>0、ーx+4>0から、xは0と4の間。
f(x)=log2x(-x+4)=log2(-(x-2)2+4)
軸x=2は0と4の間にある。f(2)=log24=2が最大(x=2のとき)
<xyの存在範囲>
真数条件と底に着目して条件を単純化する。真数だけの大小関係に直す。
(例)「logx2-(log2y)(logxy)<4(log2x-log2y)を満たす点(x,y)の存在範囲」は?
真数条件はx>0,y>0だから、第1象限だけに存在する。
底を変換するためにlog2x=X,log2y=Yとおく。logx2=log22/log2x=1/X
1/XーY・Y/X<4(X-Y)。
通分すると、
Xは実数だから、正負が不明。だから、場合分けする。
X>0のとき、(つまり、log2x>log21から、x>1の場合):
右辺ー左辺の分母=(Y-2X-1)(Y-2X+1)=(log2y-2log2x-log22)(log2y-2log2x+log22)
=>0
から(範囲P)または、から、(範囲Q)
X<0のとき(つまり、x<1の場合):
上記の否定だから、((範囲P)または(範囲Q))ではない ⇔(範囲Pでなく、範囲Qでない)。
(範囲R)
したがって、第1象限で、x>1で範囲Pと範囲Q、x<1で範囲Rが存在範囲となる。