cosx=2なんてあるのか?
1.三角関数にも複素数を
このワークシートはMath by Codeの一部です。
前回は、この2式を加えることで、
オイラー公式eix=cos x + i sin x
を導き、
オイラー等式eiπ=-1にたどりつけた。
オイラー公式は、微分やマクローリン展開でも導くことができたね。
いずれにしても、最初の2式をオイラー公式と等価のものとして使える。
このxは実数だったが、複素数としてx=zを代入してみよう。
それまでの三角関数の定義域は実数全体で、値域は絶対値1以下の実数でした。
それが、この定義にすると、指数関数の定義域をixからizに拡大する必要がある。
zが複素数にわたると、izも複素数に渡るからです。
そこで、複素数z=x+y iに対して
ez=ex+yi=exeyi=R(cos(y) + i sin(y)) (R=ex>0)
zが複素平面上をx=x1の直線上を動くと、w=ezは複素平面上で半径R=exで偏角yの円周上を動きます。
zがy軸に平行な直線のむれを渡ると、wは原点を中心とする円のむれを渡ります。
これは、複素数を複素数に対応させる関数です。
これが複素関数w=ezの特徴と言えるね。
では、cos(z)はどうでしょうか?
複素数z=x+yi に対して加法定理を使うと、
cos(z)=cos(x+yi)=cos(x)cos(yi)-sin(x)sin(yi)
=cos x(ei・yi+e-i・yi)/2 -sin y (ei・yi- e-i・yi)/2i
=cos x(e-y+ey)/2 -sin y (e-y- ey)i/2i・i
=cos x(e-y+ey)/2 + i sin x (e-y- ey)/2
= G cos x + i L sin x ( 一定のyに対して、G= (e-y+ey)/2 , L = (e-y-ey)/2 とおいた)
だから、yを一定にしてxを変動させると、cos(z)は、実軸方向にG倍、虚軸方向にL倍に拡大した
楕円を描く関数になっているね。
zがy=y1の直線上を動くと、w=cos(z)は原点をかこむ楕円周上を動きます。
zがx軸に平行な直線のむれを渡ると、wは原点をかこむ楕円のむれを渡ります。
これが複素関数w=cos(z)の特徴と言えるね。
質問:ezとcos(z)の特徴をgeogebraで視覚化するために、どうしたらよいでしょうか。
(ezの場合)
グラフィックビューを2つ用意します。
たとえば、定義域の平面z=x+yiを左に、右の平面を値域f(z)にします。
xとyの変化のf(z)への影響を見るために、
yはアニメーションにして自動変化させると、これがf(z)の偏角の変化を起こします。
アニメーションは動きを制御するためにスタートとストップボタンを貼り付けましょう。
スタートボタンの設定を開いて、スクリプト記述タブで、クリック時の中に
q=0
StartAnimation(q)
と入力します。
ストップボタンの設定はクリック時に
StartAnimation(false)
と書けばよいね。
qはz=x+yi のyのことです。
xは手動で変化させましょう。xを大きくすると、
f(z)の描く半径が大きくなりますね。
(cos(z)の場合)
z=x+yi のyを手動にして、xを自動にするところが違います。
また、微妙ですが、f(z)は円に近いですが、よく見ると楕円になります。
<cosx=2?>
動かしてみるとわかるのですが、
cos(z)は、z=x+yi として、y=nで、x=2kπ、のときに、cos(ni)+ 0 iを通ります。
cos(z)=cos(x+yi) =cos x(e-y+ey)/2 + i sin x (e-y- ey)/2だから、
cos(2kπ+ni)=cos(2kπ)(e-n+en)/2 + i sin(2kπ) (e-y- ey)/2=(e-n+en)/2=2とすると、
en=p>0とおくと、p+1/p=4。p^2-4p+1=0 , p=2±√3
n=ln(2+√3)
Z=2kπ+ i ln(2+√3)のとき、cosZ=2になるね。
数の範囲を複素数にすると、cosの値が2になることもありうるということだね。
質問:cos(2π+ i ln(2+√3))= 2をgeogebraで確かめるにはどうしますか。
x,yが予約語なので、x,yを使わずに数値を設定しょう。
a=2pi , b=log(e, 2+sqrt(3))としてから、a + b iと入力して複素数を定める。
それがz_1となるので、cos(z_1)と入力したら、それが、2+0iになればOKだね。
複素関数e^z
複素関数cos(z)
cos(z)=2となるz
2.複素数の対数関数とは?
さっきは、複素数z=x+y iに対して
w=ez=ex+yi=exeyi=R(cos(y) + i sin(y)) (R=ex>0, y=arg w)
zが複素平面上をx=x1の直線上を動くと、w=ezは複素平面上で半径R=exで偏角yの円周上を動きます。
zがy軸に平行な直線のむれを渡ると、wは原点を中心とする円のむれを渡ります。
・実部xによって複素数のサイズ、半径|z|=exが決まりx→|z|=ex。
だから、逆はz→log|z| =x (実部)はサイズのlog。
・虚部yによって円の偏角arg wが決まった。しかし、2πごとに同じ偏角になってしまう。
つまり、y1、y1+2π、y1+ 4π、............ → cos(y1) + i sin(y1) y1=arg wが同じ値にかぶる。
この逆は、cos(y1) + i sin(y1) → y1、y1+2π、y1+ 4π、............ 多値関数になってしまいます。
狭い意味での関数(全単射)にするためには、値域の大きさを2π未満にしましょう。
だから、逆は、z =cos(y) + i sin(y) → y(zの偏角 、arg zは2π未満)のもとは虚部。
まとめると、
複素数z=x+yi に対して、
w=log(z)=u+vi= log|z| + i・ arg(z) (arg zは2π未満)
になるね。