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リンク機構の定義2

リンク機構では、一部の点の位置を固定していました。 上のポスリエの反転器でも、点 A の位置を固定しています。 点 A は反転の基準になる円の中心ですから、そこを固定することで、 点 C と E が反転の関係にあることを見やすくしています。 このように、リンク機構では、その役割を明らかにするために、 いくつかの点を固定します。 例えば直線器では、2個の点を固定しています。
もし固定する点が1個しかないと、リンク機構全体がぐるぐると回転して、点の位置が定まりません。 (ただ、そのようなリンク機構にも意味があることがあります。 詳しくは後述します。) また、(平面のリンク機構で)固定したい点が3個以上になる場合、 3個目以降の点は、既に固定した2点からリンクをつなげることで固定できるので、 実質的には、固定する点が3個以上にする必要はありません。 この固定点も、リンク機構の定義に加えます。 まとめると、「エッジが長さ一定の線分であり、一部のノードの座標を固定できる平面グラフ」のようになります。 カギカッコで括ってはいますが、厳密な定義ではないので注意してください。 もう一つ、確認しておかなくてはならないことがあります。 それは、リンクの途中に点を置くことについてです。 グラフの概念によるリンク機構の定義では、リンクの途中に点を置くことができません。 一見、置くことも可能なように思えますが、リンクはあくまで2点間のつながりなので、リンクがそのままだと途中に点が乗ってもリンクと繋がりませんし、
その点でリンクを2本に分けると、折れ曲がるようになってしまいます。
そこで、その両方を試します。 つまり、元のリンクを残したまま、リンクをもう2本用意して、元ある点と置きたい点を繋げるのです。 こうするとリンクが完全に重なりますが、リンクを重ねることについて、定義では制限されていません。 具体的にはどうなっているのか、下の図に例を示しました。 スライダーを動かしての値を0まで下げると、リンクは完全に重なり、 青い点は見かけ上、リンクの途中に乗ります。 赤い点を動かして、リンクが重なっていない時と同様に機構が動くことを確認してください。
これまでは断りなしにリンク途中の点を扱ってきましたが、定義を明らかにしたので、 これからはリンク途中の点はこの方法で実現しているとみなします。 もちろん、定義を改めてリンク途中の点を許可することも可能ですが、 同じことをする際に、元の定義がより厳しい方が価値が増すと言えるので、 ここでこの方法を示しました。 ここまで、リンク機構の定義について見てきました。 なお、リンク機構を用いた機械を実際に作る際には、機構の動きに伴う点やリンクへの負荷など、多くのことを考慮しますが、 ここではそのような物理的性質は無視した上で、この定義で実現できることを考えていきます。 次のページでは、リンク機構を調べる際に役に立つ、「自由度」という概念について説明します。