9。領域
1.不等式が表す領域
<不等式は領域をさす>
不等式は方程式で2分された、片方の領域を表す。
方程式f(x,y)=0は、座標平面を方程式を満たす点集合(図形)によって、2分する。
f(x,y)=0の否定はf(x,y)>0か、f(x,y)<0のどちらかである。
だから、不等式f(x,y)>0に対応する領域とf(x、y)<0に対応する領域は別もの。
2つの領域の境界線が方程式f(x,y)=0である。
・方程式が直線・放物線のような閉じない曲線のときは、平面を上と下の2つの領域にわける。
・方程式が円のように閉じた曲線のときは、平面を中と外の2つの領域にわける。
(例)方程式が直線y=2x+3のとき、
y>x+3は直線の上側、y<x+3は直線の下側。
(例)方程式が放物線y=x2+3のとき、
y>x2+3は放物線の上側、y<x2+3は放物線の下側。
(例)方程式が円(x−3)2+y2=4のとき、
(x−3)2+y2<4は円の内部、(x−3)2+y2>4は円の外部。
2.領域の明確化と活用
<領域の明確化>
・連立不等式は2つの領域の共通部分が解になる。
境界線は=を表す。入るかどうかは図で実線/点線で区別したり、
注釈をつける。
・式1×式2>0⇔(式1>0∧式2>0)∨(式1<0∧式2<0)
だから、ともに正以外に、連立不等式の解それぞれを否定したものの共通部分も忘れない。
・式1×式2<0⇔(式1>0∧式2<0)∨(式1<0∧式2>0)
だから、正負以外に、連立不等式の解それぞれを否定したものの共通部分も忘れない。
・3直線を使った領域では、共通領域が三角形になることもある。
<領域の活用>
・変数を複数の条件Fを満たす可能性のうち、g(x,y)の最大・最小を求めるには、
条件Fを領域とする図形をかく。g(x,y)=kのグラフGをかく。
GとFに共有点が1個になるときが最大、最小になるとき。
グラフGの傾き一定ならば、y切片を変化させる。
グラフGが定点通過ならば、傾きを変化させる。
(例)線形計画法
ある会社が製品A,Bを製造している。
製品A1単位の生産に、材料2単位と4時間人の労働、3時間機械稼働が必要。
A1単位は利益2万円。
製品B1単位の生産に、材料5単位と3時間人の労働、1時間機械稼働が必要。
B1単位の利益1万円。
材料、人の労働、機械稼働の総和の上限が300単位、240時間、150時間のとき、
利益が最大になるときの製品A,Bの生産個数は?
A,Bをx個、y個生産する制限は
(制限あ)2x+5yが300以下、(制限い)4x+3yが240以下、
(制限う)3x+yが150以下。
(目的え)は2x+1y=k(万円)の最大化。
直線の傾きは、あ、い、う、えの順に-2/5、-4/3,-3,-2だから、
傾き絶対値が大きい「う」の交点を求める。(x,y)=(42,24)のときに、
えのy切片kが最大になる。2・42+1・24=108(万円)
・証明(A⇒B)問題で、領域Aが領域Bの部分集合であることを図示する。
★共通部分数が多いと色が濃くなる
★存在範囲を変換しよう
3.動点の領域
<直線の通過領域>
図形上にある2点を結ぶ直線が条件式に従って変化するとき、直線の動ける範囲は制限されるために、
通過領域が図形になることがある。
たとえば放物線y=x2の上の2点A、Bのx座標がx(B)-x(A)=1となるとき、直線ABの通過範囲を考えよう。x(A)=a,x(B)=bとすると、b=a+1だから、直線の傾きは(b2-a2)/(b-a)=b+a=2a+1となるね。
ABの方程式はy=(2a+1)(x-a)+a2。aは条件を満たしているが図形上に存在するためには実数であることが必要だね。aの式にすると、a2+(1-2x)a+y-x=0でD=(1-2x)2-4(y-x)=4x2+1-4y>=0 y=<x2+1/4放物線の下側。
<動点の存在範囲>
点Pが図形の内部を動くときにその座標を2パラメータとして変換した点Qも連動して動き、別の図形ができる。座標変換の問題なので、P(x,y)、Q(X,Y)としたときの(x,y)をX,Yを使った式に表そう。
そのx,yをPのある図形の式に代入することで、X,Yの図形の式ができる。
(例)「点P(x,y)がx2+y2<=2にあるとき、Q(x+y,x-y)、R(x+y,xy)の存在範囲」はどんな図形?
Q(X,Y)=(x+y,x-y)とすると、P(x,y)=((X+Y)/2,(X-Y)/2)を代入する。(X+Y)2+(X-Y)2=2(X2+Y2)<=8
だから、点QはX2+Y2<=22(半径4で原点中心の円の内部)
R(X,Y)=(x+y,xy)とすると、X2-2Y=x2+y2+2xy-2xy=x2+y2<=2 だから、点RはY>=1/2X2-1(放物線の上側)