8.分数関数と無理関数
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
数列の変化の理由を考えてみよう
分数関数と定義域
傾きの変化
逆関数で座標の入れ替え
1.多項式以外の関数
<合成関数>
関数を入れ子にすることを関数の合成という。
関数f(x)とg(x)があるときf(g(x))の入れ子は、gを先にしてその値にfをする。
しかし、書式としてはf・g(x)=f(g(x))のように、先にfを書くので注意。
<分数関数>
y=多項式f(x)÷多項式g(x)= を分数関数・有理関数[rational function]という。
k≠0で、y=k/xはxy=kとなり、反比例のグラフつまり、双曲線になるね。
kが正なら第奇数象限にあり、kが負なら第偶数象限にある。x軸とy軸が漸近線になる。
漸近線(x=0,y=0)の交点である原点(0,0)が(p,q)に移動しよう。
X=x+p,Y=y+qから、x=X-p,y=Y-qとなる。だから、関数のグラフを平行移動すると、関数の式はxにx−pを代入し、yにy−qを代入した式になる。
となる。
・ の標準化の仕方。
c=1のときは、整式の組み立て除法で、(a,b)÷(c,d)の商がq, 余りがr。 から、p=-dとなる。
c≠1のときは、除法の結果商がq,余りがrなら、 から、分数をcで約し、p=-d/c。
・分母・分子が2次以上の分数関数は
因数分解・両方をxで割る・分子を分母で割って帯分数形にする・部分分数に分解する・2乗の差
などを利用して、式の単純化や次数下げをしよう。
(例)
「, x1=-3, xn+1=f(xn)のとき、an=g(xn)の一般項」は?
an+1=g(xn+1)=g(f(xn))だから、g(f(x))=k(x)g(x)のようなk(x)を見つけたい。
==4g(x)
これによって、g・fを4gに置き換えられる。
a1=g(x1)=g(-3)=(-4)/(-1)=4。an+1=g(xn+1)=g(f(xn))=4g(xn)=4an。
つまり、an+1=4anという等比型になる。an=4n。
(参考)
(結果として、関数gをヘルパーとしてanの一般項を求めることができた。
だから、関数gの逆関数をつけうとxnの一般項を求めることもできるはずだね。
g(x)= のxとyを交換して、 xy+2x=y-1 y(x-1)=-1-2x。g-1(x)=
これから、xnの一般項は)
(別解)
ヘルパー関数gを使わずにxnの一般項を求めてみよう。
もしもxnが収束するとしたら、n番目もn+1番目も同じになるはずで、それをxとしよう。
から、x2-2x=-3x+2。x2+x-2=(x-1)(x+2)=0 。x=1,-2。そこで、bn=xn+2とすると、b1=x1+2=-1。
bn+1=an+1+2=
これから、。逆数をとると、 , 。
cn=1/bnとすると、x=-1+4xの解がx=1/3なので、
cn= bn= xn=bn-2=
これをg(x)=に入れるとanが出せる。。
(例)
「関数 上の点P(x,y)(xは0より大でa以下、yが負)のx+yの最大値」は?
(x-2)(y-3)=1から、 分数関数で、漸近線がx=2, y=3の双曲線のグラフになるね。
これに対してx+y=k, つまりy切片がkで傾き-1の直線y=-x+kが双曲線と接するときに最大、最小となる。
この直線の式のy=k-xを双曲線の式に代入(k-x)(k-x-3)=1。これをxについて整理しよう。
x2+(1-k)x+(2k-5)=0でD=(k-3)(k-7)=0から、k=3,k=7で接するね。
しかし、グラフからk=7ではxが2を超えた領域なので不適。
k=3が最大になるのはx2+(1-3)x+(2・3-5)=x2-2x+1=(x-1)2=0から、x=1。
aが1以上2未満ならば、接点が定義域に入るのでk=3が最大になる。
aが1未満だと、接点ではなくy=f(x)の際(a, f(a))を直線が通るときにy切片kが最大値になるね。
最大値はk=x+y=a+f(a)=
<無理関数>
を無理関数[irrational function]という。
y= (kxは非負) はy2=kx=4pxとなり、準線x=-p=-k/4と焦点(p,0)=(k/4,0)の放物線の第1象限部分。
原点(0,0)を(p,q)に移動するように
関数のグラフを平行移動すると、関数の式は規則的に置き換えがおきる。
となる。√の中は非負になるようにxの定義域を限定する。
(例)
「直線y=ax-1とと異なる2点で交わる直線aの傾きの範囲」は?
y=√(x-1)はx>=1の定義域だから、A(1,0)がグラフの端点。
直線がAを通るとき0=a-1から傾きが1。傾きが1より増やすときに接点があるのは、
直線がy2=(ax-1)2=ax2-2ax+1=x-1。a2x2-(2a+1)+2=0の判別式D=(2a+1)2-8a2=-(4a2-4a-1)=0となる
a=a=(2±√8)/4=(1±√2)/2で接する。D>のときはaがこの2解の間のときだから、a=1も入る。
直線の傾きaが1以上(1+√2)/2より小のとき。
<逆関数>
y=f(x)の逆関数[inverse]はxからyを出す逆だからyからxを出す関数になりx=f-1(y)。
このままだと、yを定義域として、xを値域としただけでグラフ自体は何も変化しない。
そのため、xとyを入れ替えた式を作りyについて解くとxを定義域にした式ができる。
逆関数のグラフはxとyの役割が変わるように視点を変えるのでは、グラフ自体をy=xについて
線対称移動することで、xとyの役割を視点を変えずに変えられる。
任意の2つのx1,x2について、x1<x2ならば、
必ずf(x1)<f(x2)になる場合、f(x)を増加関数といいます。
その逆に、xの大小とf(x)の大小が逆になるものを減少関数といいます。
増加関数の逆関数を増加関数になり、減少関数の逆関数を減少関数になります。
(例)
y=exの逆関数はy=logx (x>0)で、両方とも増加関数です。
y=1/xの逆関数はy=1/x (x≠0)で、減少関数です。
y=x2の逆関数はy=√x(x>0)で両方とも増加関数。
の逆関数は、xとyの交換したx(y-1)=2y+1 xy-x-2y=1 y(x-2)=x+1から、 (x≠0)。
y=32x-1の逆関数は、xとyの交換したx=32y-1の対数logx=(2y-1)log3から、 (x>0)。
(例)
「関数 の逆関数をy=g(x)とy=2x-1の距離が最小になるg上の点」は?
から、f(x)は軸がx=-1/2,頂点(-1/2,1/2)の放物線.
変数x,yを交換したg(x)は軸がy=-1/2で、頂点が(1/2, -1/2)の無理関数になるね。
式は
xの定義域は1/2以上でyの値域は-1/2以上だね。
直線を陰関数表示にして2x-y-1=0、g(x)上の点はP(x,y)=(t,g(t))とかけるが、
逆関数だからP(x,y)=(f(t),t)=(2t2+2t+1,t)ともかけるね。
g(x)上の点Pから直線2x-y-1=0に下ろした垂線の長さは
t=-3/8のとき、D(-3/8)= が距離の最小値。
このとき、g上の点P(x,y)=(f(t),t)=
x=17/32は定義域の際x=1/2以上に入っている。
不動のゴミもある!
2.合成関数と漸化式
<同一関数の合成は反復>
同一関数y=f(x)を入れ子にしてみよう。
x→f(x)→f(f(x))というように関数f・fはfの反復になる。
たとえば、y=f(x)=とすると、
f・f・fは漸化式an+1=anのとき,a1からa4を求めることと同じになるね。
(例)
「正方形の形のもちがある。もちをこねるときに、左から半分の位置でたてに折り目をつける。
その折り目の右がわを左に折りたたんで右に2倍に伸ばす。これを3回くり返す。
このとき動かない点(不動点)」はどこにある?
定義域を0以上1以下として、1/2以下のxに対してはy=2xとなり、それ以外のxに対しては、
x=1/2の線で対称的な変化をするから、傾き−2で(1,0)を通る線分y=-2(x-1)=2−2xとなる。
不動な点はy=xだから、交点は2−2x=xから。だから、左から、2/3の位置にある
もちはまったく動かない。3回くり返しても動かない。