5.集合
1.集合の定義と表し方
このページは電子ブック「探求 数学Ⅰ」の一部です。
<集合は思考の道具だ>
集合(class,set)を使うことで、考える対象が明確になる。
集合は対象の明確化の道具なので、2つ以上の集合の関係の明確化ができる。
だから、集合は論理的に考えるための道具として使うことができる。
そのため、集合は数学だけでなく、他の学問、ビジネスでもよく使われる。
集合の定義は入る資格(内包[Connotation])か、
所属するもの(要素[Element])の羅列(外延[Extension,Denotation])によって実行する。
(例)A={x|xは1けたの正の整数}(内包)、B={1,2,3,4,5,6,7,8,9}
C={x| 3(例)プログラミング言語Pythonでも、リスト(List)と集合(Set)は区別している。
<空集合・全体集合・補集合>
集合には大文字1文字を使うことが多い。集合に属する要素には小文字1文字を使うことが多い。
(例)整数aが偶数の集合Eの要素であることの表し方
bがEの要素でないことは
0が数であるように、何も要素がない空っぽの集合である。
要素がない集合を、[空集合](Empty set)と言い、∅、とかく。
集合を視覚化するためは、ベン図や表、樹形図などを使う。
集合は単独に使うのではなく、考える対象の全体としての集合の部分として使う。
[全体集合]U(Universe)を整数の集合とするとき、偶数の集合をAとする。
Aの以外の部分、UーAは奇数の集合になる。A以外の集合をAの[補集合](余集合)と言う。
Aにcを上につけたり、Aの直前にをつけたり、Aの真上にーをのせたりする。
2.集合の関係演算
<和>
2つの集合A、Bで、Aの要素「または(or)」Bの要素の集まりをAとBの[和集合(Union)]という。
は2つの集合を合併してあわせる演算である。とかく。
(例)A={x|xは3の倍数}、B={x|xは5の倍数}ならば、
和集合は「3の倍数または5の倍数」の集合。
<積>
2つの集合A、Bで、Aの要素「かつ(and)」Bの要素の集まりをAとBの[積集合(Intersection)](共通部分)という。
は2つの集合の共通部分に限定する演算である。とかく。
(例)A={x|xは3の倍数}、B={x|xは5の倍数}ならば、
積集合は「3×5=15の倍数」の集合。
(数的、論理的に積に対応するから積集合の名があるのだろう。)
<差>
全体集合Uのうち、Aの要素「でない」ものの集まりを[補集合(Complement)]という。
とかくことにする。
2つの集合A、Bで、Aの要素「であるが」Bの要素「でない」ものの集まりを[差集合(Difference)]という。A-Bとかく.
差集合A-B=。
AからAとBの積集合(共通部分)を取り除いた残りとも言える。
(例)A={x|xは3の倍数}、B={x|xは5の倍数}ならば、
差集合A-Bは3の倍数だが5の倍数でない集合。
<対称差>
2つの集合A、Bで、AとBの「どちらか片方だけ」の要素の集まりをAとBの[対称差(Symmetric difference)]という。
A-BとB-Aを合併したもので、排他的な和集合ともいい、
狭い方の「日本語のまたは」と同じ意味になる。
回路設計やプログラミングに役立つことがある。
(例)A={x|xは3の倍数}、B={x|xは5の倍数}ならば、対称差は3か5の片方だけの倍数の集合。
★集合による数の分類を視覚化してみよう。
3.部分集合と要素数
<集合の要素数>
1つの集合Aの要素数をn(A)とかき、集合のサイズという。
(例)プログラミング言語では、集合やリストAの要素数をsize(A),Length(A),len(A)などと書く。
<集合の部分>
1つの集合の要素の一部分を要素とする集合をもとの集合の[部分集合[Subset]]という。
もとの集合のサイズをnとすると、n個の要素の所属が2通りずつある。
だから、部分集合の個数は2n個ある。
(例)A={1,2,3,4}の部分集合は2n個ある。
サイズ4が4C4、サイズ3が4C3、サイズ2が4C2、サイズ1が4C1、サイズ0が4C0(個)
4C4+4C3+4C2+4C1+4C0=1+4+6+4+1=16=24
サイズ4が4C4=1個ある。{1,2,3,4}
サイズ3が4C3=4個ある。{1,2,3},{1,2,4},{1,3,4},{2,3,4}
サイズ2が4C2=6個ある。{1,2},{1,3},{1,4},{2,3},{2,4},{3,4}
サイズ1が4C1=4個ある。{1},{2},{3},{4}
サイズ0が4C0=1個ある。
どんな整数の約数にも1とその数自身があるように、
どんな集合の部分集合として、空集合とその集合自身の2個はある。
<集合の包含と相等>
AがBの部分集合ならば、。BがAの部分集合ならば、。
この2つが両方なりたつときに、(相等)
(例)6の倍数Aは2の倍数Bの部分集合なので、
<集合の類別>
1つの集合を重なりのない複数の集合に分けることを類別という。
(例)整数全体Nを、5で割ったあまりによって、5つの集合に類別できる。
余りがnの部分集合をCnとかくと、
(整数は余りが0,1,2,3,4のどれか1つに決まり、それ以外ない)
(余りがちがうと重なる要素はない。排反)