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2。等式・不等式の証明

1.xについての恒等式

<xについての恒等式> すべてのxについて成り立つ多項式f(x)=g(x)を、変数xについての恒等式[identity]という。 係数比較法:fとgの対応する次数ごとの係数は等しい。 数値代入法:fとgの(x)に0,1,2,3,4など、小さい数を入れても左辺と右辺の値は等しい。 (例)「a(x−1)(x−2)+b(x−1)+c=x2−3x+1が恒等式となるようなa,b,c の値」は? (数値代入法)  x=0のとき、2a-b+c=1 x=1のとき、c=-1 x=2のとき、b+c=-1  以上より、a,b,c=(1,0,-1)が必要条件。  逆にこの条件から、(x-1)(-2)-1=x2-3x+1は成り立つから十分である。 (係数比較法)  左辺を展開すると、ax2+(b-3a)x+2a+c=x2-3x+1。次数の同じ係数が等しいことと同値。  a=1,b-3a=-3,2a+c=1は、a=1,b=0,c=-1と同値。 (例)「2x-4y+5z=3, 3x+y+4z=1となるx,y,zでpx2+qy2+rz2=2が恒等式となるp,q,rの値」は?  変数を1本化して数値代入しよう。係数の大きなzを数値とみなしてx,yについて解く。  2x-4y=3-5zに3x+y=1-4zの4倍12x+4y=4-16zをたす。14x=7-21zから、2x=1-3z、3倍し6x=3-9z。  これを3x+y=1-4zの2倍6x+2y=2-8zに代入する。3-9z+2y=2-8z。2y=z-1 恒等式候補を4倍しp(2x)2+q(2y)2+r(2z)2=8 。p(1-3z)2+q(z-1)2+r(2z)2=8 z=0ならp+q=8、z=1なら4p+4r=8つまりp+r=2、z=-1なら16p+4q+4r=8つまり4p+q+r=2。  これから、p=(2-(8+2))/2=-4。q=8-(-4)=12,r=2-(-4)=6。(p,q,r)=(-4,12,6)

2.等式の証明

<式A=Bを変形して証明する> ・Aを変形してBにする。または、その逆。 ・Aを変形してCにし、Bを変形してCにする。 ・A−Bを変形して0にする。 ・xyzの少なくとも1つは0の証明は、xyz=0の証明をする。 ・比例式や分数式は値=kとおいてみる。 ・変形のときに、文字種を維持するか、減らして代入するかの方針を決めよう。 (例)「a+b=1ならば、a2-b2=2a-1」の理由は? (左辺→右辺)左辺=(a+b)(a-b)=a-b=a-(1-a)=2a-1=右辺  (左辺、右辺→同一式)左辺=(a+b)(a-b)=a-b。右辺=2a-(a+b)=a-b。したがって、左辺=右辺。  (左辺ー右辺=0)左辺ー右辺=a2-b2-2a+1=(1-a)2-b2=b2-b2=0  (別解)b=1-aを左辺に代入すると、   a²-(1-a)²=a²-1+2a-a²=2a-1(aだけの式) (例)「a+b=1ならば、a3+b3+3ab=1」の理由は? 左辺ー右辺=a3+b3+3ab-1=(a+b)3-3ab(a+b)+3ab-1=1-3ab+3ab-1=0。 (例)「a+b+c+d=0ならば、a3+b3+c3+d3=3(a+d)(b+d)(c+d)」 c+d=-(a+b)だから、(c+d)3=-(a+b)3 左辺ー右辺=  == (例)「a+b+c=3,a3+b3+c3=3abcならa=b=c=1に限る。」理由は?  (a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)=a3+b3+c3-3abc、(a+b+c)2=a2+b2+c2+2(ab+bc+ca)を使う。  a+b+c=3で、積が0だから、a2+b2+c2-ab-bc-ca=0  a2+b2+c2-ab-bc-ca=1/2{(a-b)2+(b-c)2+(c-a)2}=0から、a=b=c。a+b+cだから、a=b=c=1。 (例)「a+b+c=1,abc=ab+bc+caのとき、a,b,cの少なくとも1つは0」理由は? c=1-(a+b)となるので、abc=ab(1-(a+b))=ab-ab(a+b)=ab+c(a+b)となり、c=-abでもある。 だから、ab+1-(a+b)=-c+c=0となる。すると、(a-1)(b-1)(c-1)=(ab-(a+b)+1)(c-1)=(ab+1-(a+b))(c-1)=0  したがって、a,b,cの少なくとも1つは1になる。   (別解)解と係数の関係から、a,b,cが解の3次方程式x3+px2+qx+r=0の係数はp=-1,q=-rだから、  x3-x2-rx+r=(x2+r)(x-1)=0。だから、x=1が解なので、a,b,cのどれか1つは1である。 (例)「次数の高い順に係数が1,-4,a,1,bとなる4次式がxの整式の平方になるときのa,bの値」は?  xの整式の係数を1,p,qとして2乗展開した係数は同次部分が同じ位になる係数分離法で筆算する。 (1,p,q)(1,0,0)+(1,p,q)(0,p,0)+(1,p,q)(0,0,q)=(1,p,q,0,0)+(0,p,p2,pq,0)+(0,0,q,pq,q2)=(1,2p,2q+p2, 2pq,q2)  となり同じ次数の係数を比較する。  2p=-4からp=-2, 2q+p2=2q+4=a, 2pq=-4q=1から、q=-1/4。b=q2=1/16。a=2q+4=4 -1/2=7/2。  (a,b)=(7/2, 1/16)。 (例)「x,y,zが2(y+z)/x=2(z+x)/y=2(x+y)/zをみたすときのこの分数式の値」は?  分数式=2kとおくと、y+z=xk, z+x=yk,x+y=zkとなる。  両辺の和は2(x+y+z)=k(x+y+z)だから、x+y+z=0かk=2。  x+y+z=0なら2(x+y)/z=2(-z)/z=-2となり。k=2なら2k=4となる。だから、-2または4。

3.不等式の証明

< 「大>小」の証明> ・差=大ー小>0の証明をする。 ・小も大も正のときは2乗にして大小比較をする。 ・証明された式を使う。(一般的な定理や、前問利用) ・式を変形して関数の最大、最小を利用する。 (例)非負の実数について、「相加平均は相乗平均以上」である。 a,bが非負なので、ルートも非負。それぞれ、x,yとおく。 を証明すればよい。左辺ー右辺の2倍=x2+y2-2xy=(x-y)2は0以上。 相加平均が相乗平均以上であることは、証明済みとして、他の不等式問題に利用できる。 「=」が成り立つのはx-y=0つまり、x=y(a=b)のときに限る。 (例)シュワルツの不等式(a2+b2)(x2+y2)>=(ax+by)2 左辺ー右辺= 「=」が成り立つのはay-bx=0つまり、x=yのときに限る。つまり、a:b=x:yのとき。 2次元を多次元にしたコーシーシュワルツ不等式は有名。 (例)x,yが正でx+y=1のとき、次の最小値は?(1) (2) (1) f(x)=xy=x(1-x)=-x2+x=-(x-1/2)2+1/4<=1/4(頂点の座標から)1/xy>=1/(1/4)=4。 (2) 展開すると、分母はxy、分子はxy+x+y+1=xy+2。だから、1+2・1/xy>=1+2・4=9。 (例)a,b,cが正の実数のとき、 積xy=1なら相加平均が相乗平均以上であることから、x+y>=2・1=2で、和は2以上となる。 (例)「a,b,cが異なる正実数のとき、次の4数を大きい順にならべよう。 P=,Q=,R=,S=」 特殊例でも大小関係は不変なので、a,b,c=(3,2,1)として大小関係を確定する。 P=6・(9+4+1)=84, Q=6・(6+2+3)=66, R=3(27+8+1)=108, S=9・3・2・1=54だから、大きい順にR,P,Q,S。 隣接する2数の大小関係は3つあるから、3つの不等式を証明すればよいね。 (P-Q)/(a+b+c)= Q-S=3abc+ab(a+b)+bc(b+c)+ca(c+a)-3abc-2abc-2abc-2abc =ab(a+b-2c)+bc(b+c-2a)+ca(c+a-2b)=ab((a-c)+(b-c))+bc((b-a)+(c-a))+ca((c-b)+(a-b)) = R-P= 以上から、大きい順にR,P,Q,Sとなる。