2.複素数と図形問題
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
★複素数ってベクトルだっけ??
1.複素数とベクトル
<複素数の和差はベクトルと同じ>
複素数の和差の定義は、成分ごとの和差だ。
だから、ベクトルの和差の定義と同じと言える。
もちろん定数倍も同様になる。
ということは、線形[linear]な計算で位置が決まる数式は、複素数とベクトルは同じになる。
太字が複素数だとする。位置ベクトルと同じ式だ。
・線分A(a)B(b)をm:nに分ける点pはp=(na+mb)/m+n
(外分はnを負の数にすればよい。)
・2点A(a)、B(b)を通る直線z=sa+tb(s+t=1)
・三角形ABC(a,b,c)の重心gはg=(a+b+c)/3
・2点AB(a,b)の中点mはm=(a+b)/2
これらを実部と虚部それぞれでやればいいね。
<線分の長さ>
線分ABに向きをつけたベクトルABは終点Bー始点A=b-aで位置ベクトルの差で表すことができた。
複素数でもまったく同じに2つの複素数の差b-aで表すことができる。
ベクトルと同様に複素数で線分の長さを表すには|b-a|と表す。
だから、中心がAで半径rの円つまり、AP=rとなる円の方程式は|z-a|=rでよい。
・「A(a)とB(b)の垂直二等分線は、P(z)とすると、PA=PBという条件を絶対値を使えばよいね。
だから、|z-a|=|z-b|。
・「A(a)とB(b)からの長さがm:nの点zは、P(z)とすると、nPA=mPBという条件を絶対値で使えばよいね。
だから、n|z-a|=m|z-b|。これはアポロニウスの円だね。
(例)
「|z-3|=2|z|が表すzの軌跡」は?
A(3,0)とO(0,0)を結ぶ線分AOを2:1に分ける2点B(-3,0),C(1,0)を結ぶ線分BCが直径のアポロニウスの円。
だから、(-3+1)/2=-1、1-(-1)=2から、中心が(-1,0)、半径2の円になる。複素数方程式は|z+1|=2。
(例)
「2点A(α),B(β)があり、 のzの軌跡が原点を中心する円ならβ=kα。kの値」は?
点Z(z)とすると、ZB=2ZAだから、Zは線分ABを1:√2に内分する点P(p)と外分する点Q(q)とするときに、
線分PQを直径とするアポロニウスの円になる。その中心が原点O(0)。
p= ,q=
p+q=
=4α-2β=0。だから、β=2α。だから、k=2だね。
(例)
「zがを満たすときw=の軌跡」は?
wの式をz=wの式にしよう。
だから、|w+i|=√2|w-1|
点A(1),点B(-i),点W(w)とすると、WはABを1:√2に内分する点P(p),外分する点Q(q)とし、
ABを直径とするアポロニウスの円。
p= , q=
中心は(p+q)/2=2+i。半径は|(q-p)/2|=|√2+√2i|=2。
方程式は|w-(2+i)|=2。
(例)
「zが中心-1+i, 半径1の円ならw=の軌跡」は?
|z+1-i|=1。この式に、wの式を積の形にしてzで整理してz=wの式を代入してみよう。
z+i=(i-z)w=iw-zw。z(w+1)=i(w-1)から、z=(w-1)i/(w+1)。これを絶対値の式に代入する。
だから、となる。
2点A(-1+2i),B(-1+0i)を結ぶ線分ABの垂直2等分線だね。
(例)
「zがを満たすときw=z+(1+√3)iの偏角θの最小値」は?
共役を*で表すとき、|a|=|a*|, aa*=|a|2となることを意識してみよう。
zz*-(1-i)*z-(1-i)z*+(1-i)(1-i)*=-1+2。(z-(1-i))(z-(1-i))*=1。|z-(1-i)|=1。
zは中心1-iで半径1の円。ここで、wの式をz=wの式にして代入してみよう。
z=w-(1+√3)i。|w-i-√3i-1+i|=1 。|w-(1+√3i)|=1。wは中心1+√3i=(2;60°)で半径1の円。
図をかいて原点から円wへ接線をひく。
cos60°=1/2から、原点から引いた接線は虚軸とy=tan30°xだから、最小値θ=30°。
(例)
「|α-β|=1で|α|=2のとき、f(x)=x/|x|2と約束するとき、|f(α)-f(β)|の最小値」は?
f(x)=x/xx*=1/x*だから、p=|f(α)-f(β)|=|1/α*-1/β*|=|β*-α*|/|α*||β*|=|α-β|/|α||β|=1/2|β|となる。
A(α)は原点Oで半径2の円周上を動き、B(β)はAを中心に半径1の円周上を動く。
だから、pの最小になるのは、|β|が最大の2+1=3のとき。最小値=1/(2・3)=1/6。
複素数はベクトルと親子?兄弟?
★アポロニウスの円
★垂直二等分線
2.商の複素数の図形的な意味
<複素数の商の意味>
3点A(a)、B(b)、C(c)で2つの複素数の差の商(AB)/(AC)が(r ; θ)と等しいとき
となり、積の形にすると、AB =AC ・(r ; θ)となる。だから、
ABはACのr倍に拡大し、θ回転してベクトルとしてとらえられるね。
(例)
ならば、riという純虚数に等しいことになる。90度回転になるからABとACは垂直。
(例)
ならば、±rという実数に等しいことになる。3点A,B,Cは同一直線上にある。
(例)
「3点A(a)、B(i)、C(√3+2i)を頂点とする直角三角形ABCの角A,B,Cが90,60,30(度)となるときのa」は?
BA:BC=1:2で、角B=±60度を複素数の商で表すと、
これを積の形にして、a-b=(c-b)z だから、a=i+(c-i)z=
(例)
「2点A(α),B(β)があり、 (の虚部は正)のとき の値」は?
OA=1, OB=√2,AB=1、の虚部は正だから角AOBが反時計周りになり、角Aが直角の直角二等辺三角形。
=(√2; 45°)=1+ iとなる。この8乗はド・モアブルの定理から45°×8=360°、√2の8乗=2の4乗=16より。
.
(例)
「4点O,P(1+i),A(α),B(β)でOPAは正三角形、PBAはPB=ABの直角三角形で、Aが第4象限、BがOPAの内部
このときのα、β」は?
p=1+iだから(1;-60°)=をかけて、α=(1+i)(1/2-√3/2i)=。
Aを中心にPを45°回転して1/√2倍するとBに重なるから、(p-α)(1/√2; 45°)=(β-α)となる。
β-α=(p-α)・1/2(1+i)=1/2(1+i- ((1+√3)/2+(1-√3)/2i)(1+i)=1/4((1-√3)+(1+√3)i)(1+i)
=1/4((1-√3)+(1+√3)i+(1-√3)i-(1+√3))=1/4(-2√3+2i)
β=1/2((1+√3)+(1-√3)i)+1/4(-2√3+2i)=1/2((1+√3-√3)+(1-√3+1)i)=。
(例)
「でθが0以上2/3π以下のとき、D=|z-1+i|の最大値」は?
p=z=(2√2; θ+π/3)、q=1-i=(√2; π/4)とし、複素平面上で点P(p), 点Q(q)とする。
D=|p-q|の最大値は、OQがOPと逆方向になるときで、θの変域からして可能。
D=2√2+√2=3√2。
(例)
「虚軸上の複素数がから一番遠いzのの値」は?
3点A(a=(√2,0)),P(p=(x,y)),O(o=(0,0))はp=(z-0)/(z-√2)=(r; 90°)となり、角Pが直角な三角形となる。
だから、角Pは直径OA上の円周角。円の中心はAOの中点M(m=(√2/2,0)),半径は√2/2。
点Q(q=(√2/2,√2/2)=(1;45°))はこの円周上にある。
qから一番遠いzは、点QのMについて対称な点(q*=(1;-45°)=(1-i)/2 )。
sum(zk,k,0,7)=1+z+....+z7=(z8-1)/(z-1)=((1;-45°・8)-1)/(z-1)==0。