9.2次方程式と2次関数
★文字は0の隠れ家だ!
1.方程式の解とグラフ
このページは電子ブック「探求 数学Ⅰ」の一部です。
<2次方程式(一般形)をグラフ的に解く>
一般的な2次方程式ax2+bx+c=0の解は、2次関数(y=f(x))とx軸(y=0)の一致。
yが一致するのは2次関数のグラフとx軸が交わるとき。
だから、2次関数のグラフとx軸の交点のx座標は2次方程式f(x)=0の解となる。
一般形f(x)=ax2+bx+c=0の解はa,b,cが=0かどうかで場合わけが必要。
・a=0ならf(x)=0は2次方程式ではない。
a=b=c=0なら、y=f(x)=0は、x軸そのものになるからxは任意の実数。
a=b=0で、c=0でないときは、y=cはx軸との交点はないので、解なし。
a=0だが b=0でないなら、f(x)=bx+cとなる。bx+c=0となる解はx=-c/b。
・a≠0なら、f(x)は2次方程式になる。
解の公式のルートの中の部分(判別式)D=b2-4acが「正、0、負」の3通りに応じて、
実数解の個数は順に「2,1,0」個と判別できる。
Dが正なら公式の「±√D」部分の±が生きて2個解だできる。D=0なら±の効果がないから解が1個。
Dが負ならそもそも√負は実数ではないから0個。
グラフ的にはx軸との交点数が「2,1,0」個で、
2つのグラフは「2点で交わる、接する、離れる」となる。
2次方程式ax2+bx+c=0の解の公式の確認。
・一般に、x=(-b±√D)/(2a)
・特別に1次の係数が偶数b=2bなら、D=(2b)2-4ac=4(b2-ac) だから、D/4=b2-ac=dとすると、D=4d
だから、√D=√(4d)=2√d
x=(-b±√D)/(2a)=(-2b±2√d)/(2a)=2(-b±√d)/2(a)=(-b±√d)/a
この公式を使うには、1次の係数bを2で割ったものをbとし、他のa,cはそのまま使うこと。
慣れが少し必要な人もいるでしょう。機械的に暗記が得意な人以外は覚えてもよい。
bを2で割ると√の中の判別式をD/4とし、他は分母分子とも2で約せたストーリーを思い出そう。
・そもそも解の公式を忘れたとしても、平方完成(一次の係数bを2で割り平方を作る。平方を展開して増える、数の2乗を取り除く項をたす)を実行すればよい。
(例)
はx=3,2のとき0
グラフとx軸との交点のx座標はの解でx=2,3。
(例)
は常に正。
グラフとx軸は交わらないので、の解はなし。
(例)
はx=3のときだけ0でそれ以外は正。
グラフとx軸は(3,0)で接する。の解はx=3(重複解)
(例)
「f(x)=x2+(k-4)x-2=0、g(x)=x2-2x-k=0が1つだけ実数解を共有するときのk」の値は?
y=f(x)とy=g(x)のグラフの交点のx座標を求める。
k=2だとグラフが同一となり共有解が2個になるからダメ。
関数を定数倍したy=p・f(x)+q・g(x)も、x軸との交点の位置は変わらない。
だから、y=f(x)-g(x)という関数は共有解のx座標を通る。そのx座標で2式の両辺の差も0になる。
(k-4+2)x-2+k=0 (k-2)x+(k-2)=(k-2)(x+1)=0。
k≠2だから、x=-1が共有解。1つの式に代入すると(-1)2-2(-1)=k=3
<2次方程式の解の個数>
2次関数y=f(x)のグラフをかくには、
・f(x)=0の左辺を平方完成して頂点を求めたり、
・因数分解したり、
・2次方程式の解の判別式を使おう。
そうすれば、x軸との交わる点の個数や座標がわかる。
(例)「y=x2-3x+2の解の個数」は?
・平方完成から頂点。
2実数解。
・因数分解からx軸と2点(1,0),(2,0)で交わる。
・解の判別式から2実数解。
(例)「2次方程式x2-4x+k=0の解の個数」は?
左辺をy=xの2次関数として、グラフの概形を利用しよう。
から頂点の座標は(2,k-4)で下に凸。
・k-4<0なら交点が2つあり2実数解。
・k-4=0でx軸に接するから重解。
・k-4>0ならx軸から離れているので解なし。
・判別式D=からも
4-kと0との大小比較で解の個数(交点数)が出せるね。
<解の範囲>
xについての2次方程式が実変数mを持つとき、解はすべての実数になるとは限らない。
実数解を持てる範囲は判別式Dが非負になることである。
変数や関数に最大・最小があるのは、グラフにしたときの図形に端になる点があるということである。
2変数の2次曲線ならば、放物線、双曲線、円、楕円を
移動したり、回転した曲線を軸と垂直に動かすと、
存在する範囲がすべての実数ではなく、際になる位置があるというこことだね。
(例)
「x2+y2=1を満たす実数x,yについてk=x+2y2の範囲」は?
関係式からxの変域をもとめ、関係式からkをxの2次関数にしよう。
y2=1-x2は0以上。x2は1以下だから、xは−1以上1以下。
k(x)=2-2x2+x=-2x2+x+2は上に凸で軸がx=1/4.k(1/4)=-1/8+1/4+2=17/8が最大値
軸がxの変域の右よりだから、最小値は左の際k(-1)=-2-1+2=-1。だから、kは−1以上17/8以下。
(参考)
x,yの2次式だから2次曲線どうしの交点の問題でもあるね。1つは円で、1つは放物線。
円は固定だが、放物線はk(x=0のときのyだからy切片)の値で平行移動する。
交点が存在するように移動したときのkの値の範囲を求めている。
(例)
「xの2次方程式x2+2mx+4m2+2m=0の実数解xの存在範囲」は?
xが実数だから、D/4=m2-(4m2+2m)=-3m2-2m=-3m(m+2/3)>=0 mは-2/3以上と0以下。
mについて整理して、4m2+2(x+1)m+x2=0がmの2次方程式とみたとき、mの実数解条件は
D/4=(x+1)2-4x2=-3x2+2x+1=-(3x2-2x-1)=-(3x+1)(x-1)>=0 xは-1/3以上1以下。
(参考)
xでもmでも2次式だから楕円関係になる。
xm平面にグラフをかくとxの変域が-1/3以上1以下となり、
mの変域が-2/3以上0以下となるということは楕円を回転した2次曲線と推測できる。
x2+2mx+4m2+2m=0は M=m+1/4、X= x-1/4などとおくと、
X2+2XM+4M2+3/16=0となる。原点を中心に θ回転すると係数がp,q,rになったとすると、
px2+qxy+ry2=sとおける。そこでq=0となれば楕円の一般形になる。
cosθ=C,sinθ=Sとおくと、X=Cx+Sy, M=-Sx+Cyを代入
q=-6CS+2(C2-S2)=-3sin2θ+2cos2θ=0とすると、sin2θ/cos2θ=2/3=tan2θとなる。
★実数解のあるグラフ
★x^2-4x+k=0の実数解の個数
2.2次不等式の解とグラフ
<x軸と2点で交わるグラフ>
2次関数y=f(x)=(x-a)(x-b)で、bがaより大とする。
・2次方程式の場合
f(x)=0はfがx軸と交わるとき。x=a,bが解(異なる2実数解)
・2次不等式の場合
f<0はfがx軸より下。xはaとbの間の実数が解
f>0はfがx軸より上。xはaより小かbより大が解
(例)「とするとき、f(-1)<0となるaの範囲」は?
f(-1)はaの2次関数になるから、それが負になる範囲を求めればよいね。
から、
。解は、a<-1,5<a
<x軸と接するグラフ>
2次関数y=f(x)=(x-a)2する。
・2次方程式の場合
f(x)=0はfがx軸と交わるとき。x=a(ただ1つの実数解(重複解))
・2次不等式では、
f<0はfがx軸より下。xはaとaの間で、解なし。
f>0はfがx軸より上。xはaより小かaより大。つまり、xはa以外のすべての実数が解
<x軸からはなれている>
2次関数を、b>0でf(x)=(x-a)2+bとする。
・2次方程式の場合
f(x)=0はfがx軸と交わるときで、実数解なし。
・2次不等式では、
f<0はfがx軸より下で、解なし。
f>0はfがx軸より上で、xはすべての実数が解。
(例)
「がに対して実数解xがあるkの範囲」は?
判別式がtの2次関数D(t)となりtの変域に軸があるなら頂点のDを非負にするkの範囲を求めよう。
解xの判別式D=
これをtの2次関数としてみると、t=-1/2が軸になり、tの変域でD(-1/2)=k2+2K-24が最小値になる。
この値が0以上なら、Dはtの変域でつねに0以上となり、実数解xがある。
。kの2次不等式とみてkの範囲は−6以下か4以上。
(例)
「 がで成り立つようなaの範囲」は?
f(x)=(x-a)2-a2+a+2の最小値m(a)はaが-2以上1以下なら-a2+a+2=-(a2-a-2)=-(a-2)(a+1)>0ではaは-1と2の間。
だから、aは−1より大で1以下(A)。
a<-2なら、m(a)=f(-2)=4+4a+a+2=5a+6>0、a>-6/5となり範囲外。
a>1ならm(a)=f(1)=1-2a+a+2=3-a>0、a<3となり範囲の中ではaは1と3の間(B)。
AとBをあわせて、aの範囲は−1と3の間。
★変域制限のための変域
★判別式も関数として見てみよう。
3.2次方程式の解と対称性
2次方程式f(x)=ax2+bx+c=0(a≠0)の2つの実数解があるとき、それをα、βとしよう。
2実数解を持つなら、判別式D=b2-4ac>0
・f(x)=a(x-α)(x-β)と因数分解でき、x軸との交点がA(α,0),B(β,0)となる。
展開してaで係数を割ると、x2-(α+β)x+αβ=x2+(b/a)x+(c/a)となる。
これから、係数比較して、-b/a=α+β, c/a=αβ(解と係数の関係)
解と係数の関係では、1次の係数をマイナスして解の和とするのを忘れやすいので注意しよう。
・また、AB=|β-α|=|(-b+√D)/(2a)-(-b-√D)/(2a)|=|1/(2a)(2√D)|=√D/|a|
特にa=1ならば、AB=√Dとなる。
・2次関数の軸は2つのABの中点(m,0)を通るからm=(α+β)/2=-b/a・1/2
2次関数の頂点はf(m)=-D/(2a)2
(理由)
解の公式x=(-b±√D)/(2a) を逆にもどしてみよう。x= -b/(2a) ±√D/(2a)
(x+b/(2a))=±√D/(2a) (x+b/(2a))2=D/(4a2) f(x)=(x+b/(2a))2-D/(4a) =0
これから、f(m)=-D/(2a)2
(例)「2次関数y=x2-4x-3がx軸を切り取る線分の長さと頂点の座標」は?
D=(-4)2-4・(-3)=16+12=28。
2解の差AB=√D=2√7。
m=(α+β)/2=-(-4)/2=2。f(m)=f(2)=4-8-3=-7。(または、-28/22=-7)
(例)「連立方程式x2+xy+y2=7, xy+x+y=-5の解」は?
x+y=p, xy=qとすると、x,yは2次方程式t2-pt+q=0の解である。
x2+xy+y2=p2-q=7、p+q=-5。両辺の和は、p2+p-2=(p-1)(p+2)=0。p=1,-2。q=-5-1=-6, q=-5+2=-3
(p,q)=(1,-6)ならt2-t-6=(t-3)(t+2)=0。(x,y)=(3,-2),(-2,3)。
(p,q)=(-2,-3)ならt2+2t-3=(t+3)(t-1)=0。(x,y)=(-3,1),(1,-3)。
(参考)
x、yともに2次式でxyの項があるので楕円を回転したもの。
また、xとyの単独の2次項はないが、xyの項があり2次だから2次曲線になる。
式変形すると双曲線となるだろう。楕円と双曲線の交点は最大で4個ある。
(例)「x2-2xy+2y2=1を満たす実数x,yでx+yの範囲」は?
x+y=kとおくと、y=k-xとなり、xy関係式に代入して陰関数の形にすれば、xの2次式の問題。
関数で解くなら頂点と変域から、方程式が実数解をもつ判別式から解けるね。
f(x)=x2-2x(k-x)+2(k-x)2-1=x2-2kx+2x2+2k2-4kx+2x2-1=5x2-6kx+2k2-1=0
D/4=9k2-5(2k2-1)=-k2+5>=0 だから、k2-5=(k+√5)(k-√5)<=0で kは-√5以上√5以下。
(参考)
x,yともに2次でxy項もあるから楕円を回転したもの。
x+y=kはy切片がkの直線だ。だから、楕円と共通点があるようにkを動かせばよいね。