複写器、加算器
複写器です。
複写器は、「平面を動く点」を「決まった値(ベクトル)」だけ平行移動させます。
そこで、「平面を動く点」を「平面を動くベクトル」だけ平行移動させるリンク機構を考えます。
これは平行四辺形4つを組み合わせることで作れます。
図の通り、これはベクトル同士を足し合わせることにも等しく、ベクトル加算器と見なせます。
赤い点の動きを直線器で同じ方向に制限することで、スカラー量限定の加算器も作れます。
同じようにして、「角度」を別の場所に移動させるリンク機構が作れます。
移動させる量が決まっていれば平行四辺形1つで十分で、
変化するときは2つをつなげ、複写器とほぼ同じ構造になります。
実は複写器は、より複雑なリンク機構を考えるにあたって、非常に重要な機構です。
これを使うことで、あるリンク機構の出力(出したい点の位置や角度)を別のリンク機構に運んで行って、その入力(直接動かす点や角度)とすることができるのです。
具体的な利用法は、追々明らかになります。
角を足し合わせることについて考えてみましょう。
同じ半直線から測った2つの角、α, β があります。
ここから、逆転器や角の複写器だけを使って α + β を作ります。
図の中に、角 α と角 β の差 |β - α| があることが分かります。
その角を二等分して出てくる角はもちろん |β - α| / 2 ですが、
角度 0 の半直線から測れば、その値は (α + β) / 2です。
(この操作は、二つの角の平均を取ることに相当します。)
あとは、この角を2倍することで α + β が得られます。
これで、角の加算器があることも分かりました。
これを利用して、回転角を変えられる回転移動器なども作れます。
ちなみに、あらかじめ決まった角を足すことは、回転移動器を見ても分かる通り、
三角形を利用して簡単にできます。